玄関のドアの鍵がスムーズに入らなかった場合や引っかかる感じがするなど、違和感があるときの対処がわからないという方も多いことでしょう。 中には、強引に鍵を押し込んで、開錠しようとする人もいるかもしれません。 鍵の引っかかりは、故障や交換のサインとなる場合もあるため、注意が必要です。
本記事で、鍵の引っかかりの原因、応急処置、NGな対処方法などについて解説いたします。
初に、玄関のドアの鍵が引っかかる原因について、見ていきましょう。
鍵の引っかかりでよくあるのは、ゴミが付いているケースです。
鍵本体にゴミが付着していると、鍵穴へ差し込んだときに違和感が生じてしまうことがあります。 鍵に付着したゴミが鍵穴の内部へ入り込んでしまうと、故障の原因にもなりかねません。 鍵に付着しやすいゴミとしては、以下のものがあります。
・セロハンテープ、シール、ガムテープなどの粘着物
・バッグ、衣類などの繊維
・ガム、キャンディー、調味料などの食品
また、泥、サビなどの汚れが付いていることでも、鍵の引っかかりが起こる場合があります。 地面に落とした鍵を差し込む際には、十分に注意しましょう。
鍵穴の内部にゴミが詰まることでも、鍵の引っかかりを感じることがあります。
鍵穴は常にオープンな状態となっているため、風などの影響によって、自然にゴミが溜まってしまうことがあるのです。 もしくは、いたずらや嫌がらせ目的で、鍵穴へ異物を詰め込まれてしまうといった悪質なケースもあります。
鍵穴にゴミが詰まった状態だと、鍵が奥まで差さらないため、開錠することができません。 違和感があったときには、一旦鍵穴を覗き込んでみて、内部の様子をよく確認してみると良いでしょう。
鍵穴には、スムーズな開閉を行うために、潤滑剤が塗られています。
この潤滑剤は、長年の使用によって次第に減っていきます。 潤滑剤の量が不足すると、鍵を差し込んだときに引っかかりを感じやすくなることがあるのです。
ストライクは、鍵を回したときに突き出すデッドボルトを収める部品です。 「錠受け」とも呼ばれています。
このストライクの位置がずれてしまうと、デッドボルトの収まりが悪くなり、鍵が回りにくくなることがあるのです。 ズレが大きくなると、鍵の開閉ができなくなることもあるため、注意が必要です。
鍵穴、ストライク、潤滑剤などに問題がない場合には、鍵の劣化が原因の可能性もあります。
金属製の鍵は一見すると丈夫そうに見えますが、長期間の使用によって変形してしまうことがあるのです。 鍵が曲がってしまうと、鍵穴へ差し込んだときに、引っかかりやすくなってしまいます。
最悪の場合には、金属疲労によって、鍵が突然折れてしまうこともあります。 古い鍵を使い続けている場合は、劣化に気を付けなくてはなりません。
次は、鍵の引っかかりを感じたときに、鍵業者を呼ばずに自分で何とかできないかと考える方も多いことでしょう。
簡単な症状であれば、自力で対処できる場合もあります。
自力でできる応急処置をいくつかご紹介いたしますので、鍵の引っかかりで困ったときは、ぜひ試してみてください。
鍵の掃除は、誰でもできる簡単な方法です。
鍵本体をよくチェックして、粘着物、繊維、食べ物のカス、砂などをきれいに取り除いておきましょう。 ディンプルキーのようなくぼみがたくさん付いている鍵は、使い古した歯ブラシを使うと、細かい部分の汚れが落としやすくなります。
鍵穴にゴミが詰まっている場合は、中のゴミを取り除くことで、鍵の回りが良くなる場合があります。
ただ、鍵穴に工具などを入れてしまうと、ますますゴミが奥へ入り込んでしまうこともあるため、十分に注意してください。
鍵穴のゴミは、掃除機を使うのが一番簡単で、かつ、安全な掃除方法です。 掃除機の先端を鍵穴へ押し当てて、中のゴミを吸引して取り除くようにしましょう。
軽度の詰まりであれば、パソコンやキーボード掃除用のエアダスターを吹きかけることでも、解決できる場合があります。
古い鍵は、内部の潤滑剤が減っている可能性があります。 その場合は、潤滑剤を鍵穴内部へ注入することで、症状を改善することができます。
鍵穴用潤滑剤は、ホームセンター、インターネット通販ショップ、100円ショップなどでも入手可能です。 スプレータイプの鍵穴用潤滑剤は、鍵穴にスプレーして吹きかけるだけなので、初めての方でも扱いやすいでしょう。
鍵穴用潤滑剤が入手できない場合は、鉛筆を使うのも手です。
鉛筆には、黒鉛が含まれています。この黒鉛は鍵穴の潤滑剤として使われている成分でもあるため、鍵に鉛筆を塗り込むことで、潤滑剤の代わりとなります。
鉛筆を潤滑剤代わりとして使う際には、2Bや4Bなど芯が柔らかいものを選ぶのがポイントです。
ストライクの留め具が緩んでいることで、位置がずれてしまうことがあります。 ネジが緩んでいる場合は、プラスドライバーなどの工具を使ってしっかりと締め付けておくようにしましょう。
鍵の引っかかりを感じたときに、ついやってしまいがちなNG例についても見ていきましょう。
鍵に付いた汚れ落とす際に、タワシや金属製ブラシなど硬い素材の掃除道具を使うのはNGです。
また、サビや手垢などの汚れを落とすために、サンドペーパーやヤスリでこすり落とすのも絶対にやめましょう。 硬い素材のブラシやヤスリを使うと、鍵の形が変わってしまうおそれがあるからです。
特に、ディンプルキーのような繊細な構造の鍵は、少しでも変形すると使用不可となる場合があります。 鍵を傷付けないように、毛先の柔らかいブラシを使って、優しく掃除を行ってください。
鍵を掃除する際には、水や洗剤の使用を避けましょう。 なぜなら、金属製の鍵は、水の影響でサビてしまうことがあるからです。
また、研磨剤が含まれた洗剤を使うと、鍵の表面に傷を付けてしまう可能性があります。
掃除によって付いた細かい傷が原因となって、鍵が折れてしまうこともあるので注意が必要です。
乾いたクロスやブラシなどを使い、乾燥した状態で鍵の掃除を行うようにしてください。
曲がった鍵を自力で元に戻そうとするのもNGです。 無理な力を加えてしまうと、鍵が折れることやさらに変形するリスクがあるからです。
鍵穴に詰まったゴミを取り除く際に、針金やつまようじを差し込むこともやめておきましょう。 針金やつまようじは、簡単に折れやすいからです。
万一、鍵穴の中で、針金やつまようじが折れてしまったら、かえって高い修理代がかかってしまうことにもなりかねません。
また、鍵穴へ針金やつまようじを差し込むことで、さらにゴミを奥へ押し込めてしまうリスクもあります。
潤滑剤の代わりに、サラダオイル、オリーブオイルなどの食用油、蝋を使うのはNGです。
食用油や蝋は、サビが出やすくなることや内部で固まってしまうことがあるからです。
また、KURE5-56のような市販の潤滑剤の使用も、鍵穴には使用できない為、絶対に避けるようにしてください。
潤滑剤を使う際には、必ず鍵穴専用のものを使いましょう。
引っかかりがあるときに、力を入れて強引に鍵を回そうとするのもやめましょう。
無理に回そうとすると、鍵穴内で鍵が変形してしまうことがあります。
鍵が曲がってしまうと、抜けなくなるなることや折れてしまうこともあるので注意してください。 無理に鍵を回すことで、鍵穴を壊してしまうリスクもあります。
もしも、鍵を差し込んだときに引っかかる感じがしたときは、とりあえず開錠するのをやめて、慎重に鍵を抜くようにしましょう。
上記でご紹介した自力での対処方法を行っても問題が解決しない場合、あるいは、自力で対処に不安があるという方は、鍵業者の利用を検討してみると良いでしょう。
鍵業者を利用するメリット・デメリットや注意点について見ていきましょう。
鍵業者を呼ぶ一番のメリットは、確実に鍵を直すことができることです。
自力で対処する場合は失敗する可能性がありますが、プロの鍵業者へ依頼すればそのような心配はありません。 万一、修理中に破損などのトラブルが発生した場合は、鍵業者の責任となります。
しかも、鍵業者は、対応スピードも非常に早いため、すぐに鍵の修理や交換を行ってくれるのです。
急いでいるときや一刻も早く室内に入りたいときには、自力でなんとかしようとせずに最初から鍵業者を呼んだほうが良いでしょう。
そのほかにも、防犯性への高い鍵の取り付けなどを鍵のプロに相談ができるといったメリットもあります。
鍵業者を利用するデメリットは、コストがかかってしまうことです。
修理費用、交換費用などのほかに、出張費などが必要となる場合もあります。
鍵業者によっては、休日や夜間や対応してもらえない場合があることも、デメリットです。 どうしても困ったときは、年中無休で受け付けしている鍵業者へ相談してみると良いでしょう。
では、鍵業者を利用する際にはどのような注意点があるのでしょうか。見ていきましょう。
鍵のトラブルは、いつ発生するかわかりません。 突然、鍵のトラブルが発生すると、つい慌ててしまいがちです。
万一のトラブルのときでも、落ち着いて行動できるように、信頼できる鍵業者の連絡先を控えておくと安心です。
鍵のひっかかりは、交換のサインである場合が多いです。 金属で作られた丈夫な鍵であっても、長期間使用していることで寿命を迎えてしまうのです。
鍵の寿命のサインは、以下の通りです。
寿命については、鍵の素材、種類、使用頻度などによって異なります。
また、海の近くなど設置環境によっても、鍵の寿命が左右されることがあるのです。
一般的な鍵の場合は、10年くらいが平均寿命だと言われています。 電気錠の場合は、さらに寿命が短くなります。
10年以上も使っている鍵をお持ちの方は、近いうちに寿命を迎える可能性が高いでしょう。 鍵の寿命のサインが出始めたら、できるだけ早いうちに新しい鍵への交換を検討したほうが良いでしょう。
鍵を長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが必要です。
こまめに鍵を掃除して、ゴミや汚れが付かないように気を付けましょう。
また、鍵穴の状態についても、確認が必要です。
ゴミが詰まっていないか、潤滑剤が足りているかなどを日ごろから確認する習慣をつけておくと良いでしょう。